不動産用語集

用語の頭文字

あ行

位置指定道路

建築基準法上の「道路」として認められるために、特定の土地所有者が私道を行政に申請・許可を受けて指定された道路です。幅員4m以上などの条件を満たし、周辺の建築に必要な「接道義務」を果たす役割があります。維持管理は所有者が行います。

囲繞地

囲繞地(いにょうち)とは、他の土地に囲まれて公道に接していない土地(袋地)に通行のため必要となる、周囲の土地のことを指します。袋地の所有者は、囲繞地を通行する「通行権」を持ち、囲繞地の所有者は合理的な範囲でこれを受け入れる必要があります。

違約解除

不動産売買契約で一方が契約内容に違反した場合、相手方が契約を解除できることを「違約解除」といいます。違約した側は違約金を支払う義務があり、金額は契約書で定められます。手付解除とは異なり、違反を理由とする解除です。

か行

開発行為

土地に建物を建てるために行う造成や区画の変更などの行為を指します。都市計画法に基づき、一定規模以上の開発は許可が必要です。無許可で行うと罰則の対象となり、土地利用や建築に大きく関わる重要な手続きです。

競売

競売とは、債務者がローンなどを返済できない場合に、裁判所を通じて不動産を売却し、その代金で債権者が弁済を受ける手続きです。入札により購入者が決まり、市場価格より安く取引されることもありますが、注意点やリスクも伴います。

契約不適合責任

売買契約の目的物が、種類・品質・数量など契約内容に適合しない場合、売主が負う責任を指します。旧「瑕疵担保責任」に代わり、2020年の民法改正で導入されました。買主は修補や代替物の請求、損害賠償、契約解除が可能です。

建築基準法

建物の安全性・衛生・防火・環境保全などを確保するための法律です。建築物の構造や用途、高さ、敷地や道路との関係などについて基準を定めています。都市の健全な発展と住民の安心・安全な暮らしを守るための基本的なルールです。

固定期間選択型金利

住宅ローンの金利タイプの一つで、一定期間(例:3年、5年、10年など)は固定金利、その後は変動金利になるタイプです。固定期間中は返済額が安定し、期間終了後は市場金利に応じて見直されます。金利変動リスクと安定性のバランスを取った選択肢です。

固定金利

住宅ローンなどで、借入期間中の金利が一定で変わらないタイプの金利です。返済額が安定し、将来の金利上昇リスクを回避できます。計画的な返済を希望する人に適した選択肢です。

さ行

再建築不可物件

現存の建物は存在するが、法律上の接道義務を満たさず、新たに建て替えが認められない物件です。土地の価値や融資面で制約があり、購入時には注意が必要です。既存建物の維持管理が前提となります。

市街化区域

都市計画法に基づき、今後10年以内に優先的かつ計画的に市街化を進める区域です。住宅や商業施設の建築が可能で、インフラも整備されやすいエリアです。建築や開発が原則制限される「市街化調整区域」と対をなす区域です。

市街化調整区域

都市計画法に基づき、原則として建物の建築や開発が制限されている区域です。都市の無秩序な拡大を防ぐことが目的で、農地や自然環境の保全が重視されています。許可なく家をたてることはできず、用途や条件に厳しい制限があります。

借地借家法

借地借家法は、土地や建物を借りる人の権利を守るための法律です。賃貸借契約の期間、更新、立退きのルールなどを定め、貸主と借主の公平な関係を保つ役割を担っています。特に居住や事業用物件における安定した利用を保障する重要な法律です。

消費者契約法

消費者が不利な条件で契約を結ばされることを防ぐための法律です。不動産取引においても、事業者の不当な勧誘や不利益な契約条項があった場合、消費者は契約の取り消しや条項の無効を主張できます。弱い立場の保護を目的としています。

地面師

他人の土地になりすまし、偽造書類を使って不動産を不正に売却・転売し、代金を騙し取る詐欺師のことです。実在の所有者になりすまし、巧妙な手口で取引を装うため、対策としては本人確認や登記簿の確認が重要です。

住宅ローン控除

住宅ローンを組んでマイホームを購入・建築した場合、一定期間、年末のローン残高に応じた所得税の控除が受けられる制度です。税負担が軽減され、実質的な購入費用の負担を抑えられます。初年度は確定申告が必要となります。

住宅ローン事前審査

金融機関で住宅ローンの本審査前に、借入希望者の収入や信用情報をもとに返済能力を簡易に判断する審査です。購入物件の契約前に融資の見込を確認でき、安心して取引を進められます。結果は通常数日で通知されます。

住宅ローン保証会社

住宅ローン保証会社とは、借主が返済できなくなった場合に、金融機関へ残債を立て替える会社です。保証料を支払うことで、金融機関は保証人を求めず融資を行えます。保証会社が代位弁済後、借主はその会社へ返済義務を負います。

重要事項説明書

不動産の売買や賃貸契約の前に、宅地建物取引士が契約に関わる重要な内容を説明するための書面です。物件の権利関係や法令制限、設備状況などを記載し、契約前に理解してもらうことでトラブル防止を図ります。

接道義務

建築基準法では、建物を建てる土地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないと定められています。これを「接道義務」といいます。防災や避難、通行の確保が目的で、条件を満たさない土地には原則として建築できません。

善意の第三者

善意の第三者とは、ある法律関係について事情を知らずに関与した第三者のことを指します。不動産取引では、登記がない所有権移転などの場合でも、善意の第三者が登記を得ていれば保護されることがあります。取引の安全を守る考え方です。

た行

宅地造成工事等規制区域

土砂災害や地盤崩壊を防ぐため、都道府県知事、政令指定都市などの長が指定する区域で、宅地造成工事を行う際には事前に許可が必要です。自然環境や安全性の確保が目的で、無秩序な開発を防ぎ、安心して暮らせる街づくりに役立ちます。

宅地建物取引業

土地や建物の売買・交換・賃貸などの取引を業として行う事業です。宅地建物取引業に基づき、免許取得や取引の適正化、重要事項説明などの義務が課されます。消費者保護と取引の信頼性確保が目的です。

宅地建物取引業法

宅地や建物の売買・賃貸の仲介等を行う業者を規制し、取引の公正と消費者保護を目的とする法律です。免許制や重要事項説明、契約内容の書面化などのルールが定められており、不動産取引の信頼性確保に重要な役割を果たしています。

宅地建物取引士

不動産取引に必要な国家資格者で、契約前に重要事項の説明を行い、契約内容の記載や記名を行います。消費者保護のために設けられた制度で、不動産会社には一定数の有資格者の設置が義務付けられています。

他人物売買

売主が自分の所有でない不動産を売却する契約を「他人物売買」といいます。一見無効に思われがちですが、買主にその事実を明示し、最終的に所有権を移転できれば有効とされます。宅建実務でも注意が必要な取引形態です。

仲介手数料

不動産会社が売買や賃貸の契約を成立させた際に、依頼者から受け取る報酬です。上限は法律で定められており、たとえば売買の場合は「成約価格×3%+6万円(別途消費税)」が一般的です。また成約価格が400万以下の場合計算式が異なったり、低廉な空き家等特例の場合があります。成功報酬の為、契約が成立しない限り請求されません。

抵当権

抵当権とは、住宅ローンなどの債権を担保するために、不動産に設定される権利です。債権者が返済できない場合、債権者はその不動産を競売にかけて優先的に弁済をうけることができます。通常、登記によって効力が発生します。

手付金

不動産売買契約時に、買主が売主に支払うお金で、契約成立の証として扱われます。一般的には売買代金の5~10%程度ですが、交渉は可能です。契約後に解除する場合、買主は手付金を放棄し、売主は倍返しすることで解約が可能です(手付解除)。

都市計画法

都市の健全な発展と秩序ある整備を目的とした法律です。用途地域や市街化区域などの区分を定め、建築制限や開発行為の許可基準を規定しています。無秩序な開発を防ぎ、快適な住環境やインフラ整備を実現するための基本法です。

土砂災害警戒区域

土砂崩れや地滑りなどの災害リスクがある地域です。災害発生時の被害を軽減するため、土地利用や建築に注意が必要です。防災情報の確認や適切な対策が求められます。

土砂災害特別警戒区域

土砂災害の危険性が非常に高い地域です。住宅建築や土地利用に厳しい制限があり、災害防止のための対策が求められます。住宅の安全確保と被害軽減を目的とした区域です。

な行

二重売買

二重売買とは、同じ不動産を同時期に複数の相手に売却することを指します。この場合、原則として先に登記を備えた者が所有権を取得します。不動産取引では、登記の有無が権利関係の決め手となるため、登記の確認が極めて重要です。

任意売却

任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった場合、債権者(金融機関)の同意を得て、競売にかけずに不動産を売却する手続きです。市場価格に近い金額で売却できる可能性があり、債務者の経済的・精神的負担を軽減できるメリットがあります。

農地法

農地の売買や転用(農地から宅地などへの変更)を規制する法律です。農地の乱開発を防ぎ、農業の保全と適正化利用を目的としています。農地を売買や転用する際は、都道府県知事などの許可が必要です。

は行

媒介契約

不動産の売買や賃貸を依頼する際、依頼者と不動産会社が結ぶ契約です。契約の種類には「専属専任」「専任」「一般」の3つがあり、依頼方法や報告義務などに違いがあります。契約内容を明確にし、適正な取引を促すために締結されます。

不動産登記制度

不動産登記制度は、土地や建物の権利関係(所有者や抵当権など)を公的に記録する仕組みです。登記簿に記載することで、第三者に対する権利の主張や取引の安全が確保されます。不動産取引では、登記の確認が非常に重要です。

不動産売買契約書

不動産を売買する際に、売主と買主が合意した内容を明文化した契約書です。物件の概要、代金、引渡し時期、特約事項などを記載し、トラブル防止と権利保護を目的とします。署名押印により法的効力が発生します。

フラット35

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携し提供する、最長35年間の全期間固定金利型の住宅ローンです。安定した返済計画が立てやすく、借入時の金利変動リスクを回避できます。新築・中古住宅の基準を満たす住宅の購入に利用可能です。

変動金利

住宅ローンなどで、金利が市場の金利動向に応じて定期的に見直されるタイプの金利です。金利が下がれば返済額も減りますが、上昇すると返済額が増えるリスクもあります。返済計画の柔軟性が特徴です、

ま行

民法

民法は、私たちの生活に関わる基本的なルールを定めた法律で、不動産の売買や賃貸、相続、契約などにも深く関係します。特に所有者や借地権、契約不履行の責任など、不動産取引の根拠となる重要な規定が含まれています。

や行

融資特約

買主が住宅ローンを利用する場合、万が一ローン審査に通らなかったときに売買契約を白紙解除できるという特約です。一定期間内に融資不承認の通知を行うことが条件で、買主のリスクを軽減する重要な条項です。

わ行

私道

個人や法人が所有・管理する私有地内の道路で、公道とは異なり公共の管理ではありません。建築基準法上の道路に該当しない場合、建築制限や接道義務の影響がでることがあります。通行権や管理責任が所有者にあります。