遺言の重要性~遺言がないと、家族がバラ

2025年06月14日

遺言がないと、家族がバラバラに?~自宅だけを相続するリスク~

 

こんにちは。ネオホームズの石川です。今回は、私がこれまで多くのご相談を受ける中で特に多い「遺言がないまま亡くなった場合の相続トラブル」について、実際にあった事例を交えてお話ししたいと思います。

 

たとえば、こんなご家庭がありました。

 

【事例】「家しかない相続」で起こった悲劇

 

広島市にお住まいのAさん(75歳)は、奥様に先立たれ、長男夫婦と一緒に長年暮らしてきました。持ち家はAさん名義で、金融資産はほとんどなく、年金でつつましく生活していました。

 

そんなある日、Aさんが突然の病で亡くなりました。問題はここからです。

 

相続人は長男、次男、長女の3人。Aさんは遺言を残していませんでした。遺産は住んでいる自宅だけ。現金はほとんどなし。

 

相続は法律に基づき「法定相続分」で分けることになります。つまり、家の3分の1ずつを兄妹で共有する形になります。

 

ところが、次男と長女は「家の持ち分を買い取ってほしい」と主張、長男側は「今すぐ現金は用意できない」と応じられず、交渉は難航。やがて、次男と長女は共有持分を売却する意思を示し始め、最悪の場合、家を売却して現金化するしかない状況に。

 

長男家族は長年住んでいた家を出ることになり、兄妹の関係もぎくしゃくしたまま、今も修復できていません。

 

自宅しかない相続のリスクとは?

 

不動産は現金のように「すぐ分けられる資産」ではありません。遺言がないと、相続人全員の同意がある場合を除き、法律通りに分けることになりますが、それがかえって争いの火種になることも。

 

・家に住んでいる人がいても、他の相続人が持分を主張できる。

・揉めると、家を売るしかない選択に迫られる。

・相続登記や売却が進まず「塩漬け不動産」になる可能性も。

 

こうしたリスクは、金融資産がなく自宅のみが遺産というケースで特に顕著です。

 

トラブルを防ぐ「遺言」の力

 

このような事態を防ぐには、「遺言書」の作成が非常に効果的です。

遺言には、「誰に何を相続させたいか」を明確に記すことができます。たとえば「長男に自宅を相続させる」と指定し、他の相続人には生命保険などで、代償分割を考えることが可能です(※現金が無い場合は事前に準備が必要です)。

 

また、遺言があることで、家族が「お父さんの意思」として受け入れやすく、心理的にも納得感が生まれやすいのです。

また付言事項といって、なぜそういう配分の遺言にしたかなど被相続人の想いを書き記すことによって、より納得感が増します。

 

最後に

 

相続は「いつか」の話ではなく、「いずれ必ず来る」ことです。自宅しか財産がない場合ほど、早めの対策が家族の絆を守ります。

 

「うちは大した資産がないから大丈夫」と思っている方や、「親から見て仲良い兄妹だから大丈夫」と思っていらっしゃる方など、ぜひ一度、ご相談ください。

 

弊社では、相続診断協会の「相続診断チェックシート」を用いて、見えないリスクを予見し、遺言・相続・家族信託など、さまざまな手段で未来の不安を小さくできます。

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