相続不動産の共有リスク~「とりあえず共有
2025年06月09日
相続した不動産、「とりあえず共有」で本当に大丈夫?
~共有登記のリスクと後悔しないためのポイント~
親から相続した土地や家。自分たちは住む予定がなく、兄弟姉妹と「とりあえず共有名義にしておこう」と決めた・・・。
そんなケースをよく見かけます。
確かに一時的な手間を省けますが、実はこの「とりあえず」が後々大きなトラブルの火種になることが少なくありません。
今回は、不動産を共有で相続するリスクと、後悔しないための考え方について、事例を交えてお話しします。
【事例】兄弟4人で相続した郊外の土地
数年前、あるお客様から相談を受けました。
ご両親が所有していた郊外の200坪の土地。4人兄弟で相続し、名義は4人の共有に。
当初は「売る予定はないからそのままで」と話がまとまっていました。
ところが数年後、固定資産税の納付を巡り揉め始めます。
「私は払いたくない」「お兄さんが管理しているんだから払ってよ」と責任の押し付け合いに。
さらに売却の話が出た時、長男は売却賛成、次男は反対、長女は疎遠、末っ子は行方不明・・・。
このように共有名義の不動産は、全員の同意が必要なため、ちょっとした意見の違いが大きな障害になることがあります。
しかも年月が経つほど、相続人が増えたり関係が希薄になったりし、話し合い自体が難しくなります。
【共有登記の主なリスク】
1.管理・維持の責任があいまいに
草刈りや建物の補修、税金の支払いなど、誰がどこまで負担するかトラブルになりがち。
2.売却・賃貸に全員の同意が必要
一人でも反対者がいると売却できません。疎遠な共有者がいる場合、同意を得るのに大変な労力と時間がかかることも。
3.世代交代で権利関係が複雑化
共有者が亡くなれば次の世代に権利が移ります。相続が繰り返されることで権利者が増え、収拾がつかなくなることも。
いわゆる「所有者不明土地問題」の原因のひとつです。
【後悔しないための対策】
相続時に「とりあえず共有」は避け、早い段階で以下の対策を検討しましょう。
・売却する
不要な土地は早めに売却し現金化。兄弟姉妹で公平に分配することで後々のトラブルを防げます。
・単独名義にする
一人が相続し、他の相続人に代償金を支払う方法。管理や売却の自由度が高まります。
・活用する
賃貸や有効活用の道を探る場合も、共有より単独名義の方がスムーズに進められます。
【最後に】
相続時は「今は揉めてないから大丈夫」と思いがちですが、家族の状況や関係性は年月とともに変わっていきます。
共有登記は将来のリスクをはらんでいることをぜひ知っておいて下さい。
大切なご家族の関係が、不動産の共有が原因で損なわれないよう、相続後の活用や処分方針は早めに話し合って決めることが大切です。
お困りの際は、専門家にご相談いただくのも有効です。
弊社でも相続不動産に関するご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。