ライフラインの設備と他人の土地を使う権利

2025年06月30日

ライフラインの設備と他人の土地を使う権利~知っておきたい設置・使用のルール~

 

皆さまこんにちは、ネオホームズの石川です。

 

家を建てる時やリフォームをするときに大切なのが、電気・ガス・水道・下水道といった「ライフライン」の整備です。これらの配管や配線を自分の土地だけで完結できれば良いのですが、現実には「他人の土地を通さないと引き込みができない」というケースも少なくありません。

 

たとえば、

 

・新しく家を建てたが、道路から自分の土地まで水道管を引くには、隣地を通さざるを得ない

・古い住宅地でガス管のルートが隣の土地を通っており、取り替えや修理が必要になった

 

こうしたとき、「勝手に他人の土地を掘り返していいのか?」というと、当然ダメです。では、どうやって権利を得るのでしょうか。

 

ライフライン設置のための「要役地」「承役地」

 

民法では、自分の土地の利用のために、他人の土地を使う権利を「地役権(ちえきけん)」といいます。

 

たとえば、Aさんの家が道路に面しておらず、Bさんの土地を通らなければ水道管を引けないとします。このとき、Aさんの土地を「要役地(ようえきち)」、Bさんの土地を「承役地(しょうえきち)」と呼び、AさんがBさんに地役権を設定してもらうことで、Bさんの土地を通って水道管を引くことができます。

 

地役権は、通常は当事者同士の契約で設定します。また、登記することで第三者にも対抗できるので、将来のトラブル防止のためにも登記は大切です。

 

やむを得ない場合の「通行権」や「工作物設置権」

 

ただし、必ずしも契約だけで解決できないこともあります。民法には、「囲繞地(いにょうち)」の通行権という規定があり、たとえば、周囲を他人の土地に囲まれて道路に出られない土地の所有者は、必要な範囲で他人の土地を通行できます。

 

同様に、水道管やガス管を引くために他人の土地を通らざるを得ない場合、「工作物設置権」として認められるケースもありますが、やはり「必要性」や「損害が最小限であること」が条件です。

 

とはいえ、法律上の権利があっても、隣地所有者との関係が悪化すると後々の生活に大きな影響が出ます。

 

トラブル防止のポイント

 

・必ず事前に隣地所有者と話し合う

・契約内容は書面に残し、できれば登記する

・工事内容を説明し、相手の不安を取り除く

 

ライフラインの問題は「いつか起こるかもしれない」身近な話です。特に古い住宅地では昔からの管が通っていることも多く、売買や建築の際に思わぬ問題になることもあります。

 

もし「隣の土地を通さないとライフラインが引けないかも・・・」と思ったら、早めに専門家に相談することをオススメします。昨年の民法改正でライフライン設備の「設置権」と「使用権」が明文化されました。当社でもご相談を承っておりますので、どうぞお気軽にご連絡ください。